遺産効果を群島全体に 市町村長会 観光マスタープラン策定へ
2021年07月28日
世界自然遺産
奄美大島や徳之島の世界自然遺産登録から一夜明けた27日、奄美群島12市町村の首長で構成する奄美群島市町村長会(会長・高岡秀規徳之島町長)が奄美市役所であり、遺産登録を踏まえた今後の奄美の振興策について協議した。2023年度に期限切れを迎える奄美群島成長戦略ビジョンの第2次となる新ビジョンの策定体制やスケジュールを確認。また新ビジョンと並行し、国立公園指定や世界自然遺産登録の効果を、群島全体に波及させるための奄美群島観光マスタープラン(仮称)を22~23年度にかけて策定することを決めた。
13年2月に策定された成長戦略ビジョンは、奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長や地元裁量で運用する交付金制度の理論付けとなる。
新ビジョン(実施期間は24~33年度)は今年5月31日、市町村長会で書面決議により策定を決定。現行のビジョンの取り組みを踏まえつつ、コロナ禍の社会や世界遺産登録など社会情勢の変化にも対応した、新ビジョン策定を目指す。
策定に当たっては作業部会のほか、ビジョンへの提言を目的とした有識者で構成する懇話会を設置。島ごとに分科会も開催する。今年度は現行ビジョンの検証や新ビジョンの骨子策定を進める。
奄美群島観光マスタープラン(基本計画)は、求められる観光施策が多様化する中、年度ごとの取り組みの指針を関係者間で共有しながら事業が進められるよう、事業主体や取り組むべき課題などを体系的に整理。持続可能な観光振興を図るため、奄美群島の生物多様性や地域文化を保全・継承しつつ、世界自然遺産登録などの効果を、群島全体に波及させるための観光に特化した基本計画を示す。
会ではこのほか、15年に設置した世界自然遺産登録推進基金の名称を「世界自然遺産基金」に変更。基金を活用した、子どもたちの環境学習活動や保全活動への助成制度創設を決めた。